第二回トレジャーハンティング

一般社団法人日本アップサイクル協会はサイクルベースあさひ広島舟入店と協働し、廃棄物を減らす取り組みと、廃棄物から新たな価値を創造する取り組みを掛け合わせた企画「トレジャーハンティング」を開催しました。

サイクルベースあさひ広島舟入店では、日々タイヤのゴムチューブや、自転車のフレームが廃棄物として排出されています。トレジャーハンティングでは、それら廃棄物に新たな付加価値をつけるアップサイクルにより、循環型社会の実現を目指しています。この企画には様々な企業や経歴の方が参加し、サイクルベースあさひ広島舟入店での普段の業務の流れから、廃棄物がどのように発生しているかを確認し、それらの可能性について議論しました。

今回の議論で出たアイディアから、廃棄された自転車のタイヤのゴムチューブをアップサイクルした、Apple Watchのバンドを試作しました。

目次

アップサイクルによる廃棄物再生の可能性

サイクルベースあさひ広島舟入店では、日々自転車の販売やメンテナンスを行っています。自転車のメンテナンスは、お客様からの持ち込みによるタイヤのパンク修理がほとんどで、パンクの多くの原因は空気圧不足によるものです。空気圧不足であれば空気の充填のみで対応しますが、チューブに穴が空いていた場合は穴を塞ぐパンク修理で対応します。しかし、経年劣化などで状態がひどい場合は交換が必要となり、そこでタイヤ・チューブが廃棄物として発生します。

「廃棄物としては自転車のタイヤゴムチューブが最も多く、1日20~30本ほど廃棄されています」

サイクルベースあさひ広島舟入店では、お客様の古くなった自転車の引き取りも行っています。月に一回、ゴムチューブなどの廃棄物を業者に引き取りいただいています。引き取りまでの間は、店舗の駐車場に自転車を保管しています。トレジャーハンティング当日は43台の自転車が並べられ、その横には大量の自転車タイヤ・ゴムチューブが積まれていました。保管している自転車は、パンクしているものや車体の歪みがあるもの、状態は様々ですが、自転車のフレーム・ハンドル・チェーン・ギアなど、個々のパーツは使用できるものが多く、ごく稀にほぼ新品という状態の自転車もあります。

「自転車の引取りは月平均で30台ほどで、繁忙期の3~4月は1ヶ月で200~300台の引取りをしています」とサイクルベースあさひ広島舟入店の担当者は説明します。

「もったいない」を宝物に変えるには

トレジャーハンティングは様々な企業の方が参加しました。参加者の職種や経歴も様々です。トレジャーハンティングの目的は、他社のもったいないを探すことで自社のもったいないを探す眼を養うことにあり、廃棄物がどのように発生するか流れを理解し活用法を話し合います。話し合いでは多種多様な参加者から、ゴムチューブを中心に廃棄物の素材特性を活かした、自分たちだけでは考えつかないアイディアが飛び交いました。

「日々の仕事の中で引き取った自転車が使えそうなことや、大量のタイヤ・ゴムチューブにもったいないなという気持ちがありました。自分たちが棄てるしかないと思っていたものが、アップサイクルによって魅力的な製品になれる可能性にとてもわくわくします」とサイクルベースあさひ広島舟入店の担当者は語ります。

アップサイクルの動向

アップサイクルは、環境への配慮とリサイクルの重要性が高まるなか、世界中で注目されている持続可能な取り組みです。ただ、アップサイクルに関する取り組みは国や地域によって異なり、特に日本と海外では大きな違いがあります。

海外では、アップサイクルも一般的に普及しつつあり、アップサイクル製品の市場も急成長をしています。自転車のゴムチューブ使ったものでも、日用品や雑貨など多数のアップサイクル製品があります。
一方で、日本においてもアップサイクルは注目されはじめており、一部の企業や団体では積極的に取り組んでいますが、海外と比べると浸透度は低いかもしれません。

そのなかで日本アップサイクル協会では、トレジャーハンティングのアイディアの1つから、タイヤのゴムチューブの素材を活かしたApple Watchのバンドを試作しました。

「廃棄物ひとつとっても、たくさんの人たちと協働することで様々なアイディアが生まれることがわかりました。今回の試作品以外のアイディアも実現しいき、また自転車やタイヤ・ゴムチューブ以外の廃棄物でも、地域と連携し様々な活用法を模索していきたいと考えています」

一般社団法人日本アップサイクル協会は、今後も地域との連携を図り廃棄物の可能性を探求し、魅力的なアップサイクル商品の制作に取り組んでいきます。

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